猫舌堂Webマガジン「一食十色」 ~「介護の日」おしゃべり会~

猫舌堂Webマガジン「一食十色」 ~「介護の日」おしゃべり会~

2022 ⁄ 11 ⁄ 11

11月11日は介護の日。

「いい(11)日、いい(11)日、毎日あったか介護ありがとう」という介護のキャッチコピーから制定された記念日だそうです。

在宅介護では、毎日の介護食作りに悩まれる方も少なくありません。

やわらかく煮炊きしたりとろみをつけたり、また、日によって食欲の波があったりと、介護する家族にとって負担になりがちなのかもしれません。

今回のゲストは、15年前にお祖父さまの介護を経験したオズさん。

当時利用していたレトルト介護食シリーズ『やさしい献立』の製造販売元、キユーピー株式会社を訪問しました。お祖父さまの思い出を振り返りながら、介護食の開発にたずさわるご担当者2人に、おいしさの秘密や開発秘話、そして、キユーピーが目指す「よりよい介護食」への思いをじっくりお聞きする「おしゃべり会」を開催しました。


おしゃべり会のメンバー

 

オズ さん (15年前に祖父母を自宅で介護したご経験者)

武藤 彩乃 さん(キユーピー株式会社 研究開発本部/管理栄養士)

原 進 さん(キユーピー株式会社 研究開発本部/コーポレートシェフ)

 


1.家族で祖父母を介護。「ワンチーム」でもいっぱいいっぱい。

司会:今日はどうぞよろしくお願いいたします。オズさんとは、猫舌堂さんのオンラインランチ会で偶然お会いしたんですよね。


そうなんです。キユーピーの方だと自己紹介されたのを聞いて、「わあ、おじいちゃんが食べていた介護食の会社の人だ!」と嬉しくなって(笑)。「お世話になってました~」と思わずお声をかけてしまったんですよね。


 

司会:不思議なご縁ですよね(笑)。今日はリアルでお会いできて本当に嬉しいです。確か、お祖父さまを自宅で介護されていたのは15年ほど前とお聞きしました。


はい、2007年頃のことです。

便秘がちだった祖父は腸閉塞で入退院を繰り返し、また、食べものをうまく飲み込めずむせやすい状態でもありました。

退院する際、「やわらかいもの、とろみをつけたものを食べてもらうようにしてください」と病院から言われて、えーどうしよう、と頭を抱えたのを覚えています。

当時は、両親と祖父祖母、妹、私の6人暮らしでした。

やわらかい食事しかとれない祖父だけでなく、認知症の祖母も介護が必要な状況でした。暴れたり暴言を吐いたりもしていて大変でしたね。

両親は共働きだったので、家族で分担しながら2人の介護をしていました。平日の昼間は妹と私が仕事のスケジュールに合わせて交代で。夜間と土日は両親がみる、といった感じです。妹も私も土日は仕事があったので。


司会:ご家族で協力されていたんですね。


そうですね。ただ、分担はしていても、祖母の対応に手を取られることも多く、家族全員が常にいっぱいいっぱいでした。

退院当初、祖父の食事は、家族が食べるメニューにとろみづけ*1をかけて、どろどろにしたおかずを出していました。ただ、大きい具材や葉物野菜がうまく飲み込めなくて。次第におかゆやおじやのようなものを祖父専用に作るようになりました。


司会:キユーピーのレトルト介護食を使い始めたのはその頃だったのですね。


はい、とろみ食を手作りし始めた数か月目に、インターネットでたどり着いたんです。

 

 

 

*1とろみづけ:飲み込みが難しい方の食事や飲みものに混ぜてとろみをつけ、水・お茶・濃厚流動食を飲み込みやすくしたり食事をまとまりやすくするための食品(参考:キユーピーやさしい献立『とろみ調整』

左から、武藤さん、原さん、オズさん

 

2.レトルト介護食は、やっと見つけた「神」!


祖父の介護食作りと認知症の祖母の対応に追われるなか、いつも妹と「何か(いい方法)ないかな」と言いながらインターネットを検索していました。

 

 

「とろみ食」「介護食」と検索しているうちに、たまたま見つけたのがキユーピーさんのレトルト介護食『やさしい献立』の販売サイトです。

レトルトの介護食があることすら知らなかったので、見つけたときは妹と2人で「神だ!」って(笑)。段ボールで届いたのを覚えているので、初回から大量に買ったんだと思います。いくつか試してみよう、という余裕もなく、飛びついた感じですね(笑)。


司会:15年前ですと、高齢者向けの宅配弁当などもほぼ無かったような時期ですもんね。お祖父さまの介護食には、どのかたさ*2を選ばれましたか?


「歯ぐきでつぶせる」シリーズを確か2パックずつ、ひととおり買ったような気がします。

病院からかたさについて細かい指示は特に聞いていなくて。ひょっとすると両親が聞いていたのかもしれませんが、私と妹は知らされてなかったです。あまりにもバタバタしていましたし。

使ってみたら、とにかく、「助かるー!」の一言でした(笑)。「おじいちゃんのご飯は、これがあるから大丈夫」という安心感から、少し心にゆとりを持てた気がします。


*2かたさ:UDF(ユニバーサルデザインフード)の4つの区分に基づくかたさ。「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」に分かれます(本記事の後半で詳しく紹介しています)。

「レトルト介護食をネットで見つけて、『神だー』って思いました」(オズさん)

 

3.「すき焼き、おいしかったよ」祖父が初めて2階から降りてきた日


祖父が特に気に入ったのが「すき焼き」でした。

おかゆの上にかけて、その上に生卵を乗せて電子レンジで温めるんです。レンジの中で爆発しないよう、黄身にいくつかポツポツと穴を空けて(笑)。卵がちょうど半熟になったところでどんぶりに入れて出していました。

当時、祖父は2階の自室で昼ごはんを食べていました。ところが、初めて『やさしい献立』のすき焼きを出した日、わざわざ2階から降りてきて「おいしかったよ」と言ってくれて。それまでそんなことはなかったので、本当にびっくりしました。

 

司会:そんな言葉をかけてもらえると、食事を準備した側も嬉しいですよね。

 

 

嬉しかったです! 次からは「すき焼き」を多めに注文しました(笑)。

 

 

実は、後から聞いたのですが、妹は私よりも余裕がなくて、レトルト2種類をご飯に乗せたりもせず、ボンボン、とそのまま出していたこともあったそうなんです。悪いなと思いながらも、とりあえず2種類出したからごめん、許して、という感覚。介護ってそのくらい余裕がないんですよね。

 

 

大人4人で協力したとしても、介護は大変ですよね。

いろんな方の経験談をお聞きして思うのは、「申し訳ない」とか「もっとやってあげればよかった」とおっしゃる方ほど、一生懸命やってらっしゃることが多いということ。

「レトルトなんか出して申し訳ない」と思う方もいらっしゃいますが、「レトルトなんか」と思われない商品をどうすれば提供できるか、いつも考えているんです。

 

私自身も、最初は「おじいちゃんだけレトルトでごめん」という感覚はありました。祖父は食べることが好きでしたし。

ただ、たとえ手作りだとしても、とりあえずで作った同じようなおじやを毎日出すよりは、レトルトを使えばいろんな味を食べられて楽しいよね、という気持ちもあって。ですから、申し訳ないと思ってばかりではなかったですね。

 

オズさんが持参してくださったお祖父さまのお写真


4.喜んでもらえる介護食を作るため、まず「おいしい」に素直に向き合う

実は、祖父が亡くなった後、余っていた『やさしい献立』を自分でも食べてみたんですよ。おじいちゃん、どんな味を食べていたんだろうと思って。そしたらやっぱり、すき焼きがおいしかったです(笑)。

 

 

ありがとうございます。

 

キユーピーの介護食は来年で25周年を迎えるのですが、オズさんのお祖父さまが『やさしい献立』を食べておられた頃はちょうど変革の時期でした。

1998年に市販用介護食事業を始めた当初は、食べやすくて栄養もたっぷりとれて、と、いろんな要素を盛り込んでいました。ただ、そうすると、栄養面ではすぐれているけど味はちょっと…というような、機能と味とのバランスをとる限界のようなものが見え始めたんですね。

キユーピーが提供する「介護食」はどうありたいか、という原点にたちかえったときに見えたのが、「毎日食べてもらえる、そして喜んでもらえる介護食」という姿でした。

そこから取り組んだのは、機能も味も完璧を目指すのではなく、まず、素直に「おいしい」に向き合ってみる、ということです。実は私は前職で調理師専門学校の教壇に立って日本料理を教えていたのですが、私がキユーピーに入社したのも、まさにこの「おいしい」に向き合う変革のためだったんですよ。

 

 

そうだったんですね!

 

 

はい、そうなんです。ただ、15年前の私の立ち位置はまだ、外部から来た「アドバイスする人」に近かった時期かもしれないですね。

「ああしたらいいのに」「この味がいいのに」までは言えても、では実際にレトルト処理をするうえで何をどうすれば、自分が指摘した味の課題が解決できるのかまでがわからなかった。ただ、よりよい味になるように、試作ごとにひたすら味をみながらアドバイスしていた頃です。


おじいちゃん、あのすき焼きはこうやっておいしくなったんだって(お祖父さまの写真に向かって)。

 

 

 

味の理想だけアドバイスするなら、外部からの「監修」でもきっと十分なんです。

ただ、調理やレトルト処理の工程を踏まえたうえで、技術的な面も含めて「できる」「できない」を自分でも知って考えたほうが、よりよいものが作りやすいわけです。チームの一員として参加して開発部門と一緒に協力して作る。実際にできたものを見て「今度はこうしてみよう」と議論する。料理人である私がキユーピーの社員としてチームにいる価値は、そこにあると思っています。

「レトルト処理の工程も理解したうえで、よりよい味を追求したい」(原さん)

5.「味」は命のみなもと。舌がんの経験を通して思うこと


実は、私は2021年に舌がんを経験しています。

舌を半分切除する手術を受けた直後は、赤ちゃんが食べるようなどろどろの食事を食べていました。

手術後に緑色の野菜のペーストを食べたとき、最初のひと口で野菜の味がして、「おいしい!」と感動したことは今でも覚えています。その経験があるので、味ってとても大事だとなおさら思います。レトルトだとか、形状がやわらかいとか、関係ないんです。

 

 

そんな経験をなさったんですね。

 


この野菜のペーストには、なぜかマヨネーズがついてきたんですよ。味がもの足りないと感じたら各自で味付けできるように、ということだったみたいです。


私自身は野菜の味だけでも嬉しかったんですが、マヨネーズはときどき使っていました。元気になるために何が何でも食べなきゃ、と思って。

オズさんが手術直後に食べていた病院食(マヨネーズつき)



6.熱と圧力を加えると想定外の味? レトルト食品の開発は「掛け算」の連続


先ほど、祖父の介護食を自分でも食べてみた、というお話をしましたが、実は正直に言うと、おかゆの上に乗せると味がもの足りないと感じるおかずもありました。おかゆとは別に出してあげればよかったな、と後になって気づいたんですよね。


なるほど。

たとえばすき焼きは主菜なので、一番しっかり味がついているメニューのひとつですね。

 

一方で、さっぱりした味付けの副菜を水分の多いおかゆに乗せると、薄味になってしまったのかもしれないですね。

実は、レトルト食品の味やかたさは、さまざまな工夫が必要なんです。

レトルト食品は、常温で日持ちさせるために100℃超の高熱や高圧を加える処理をおこなっています。熱や圧力が加わると、食材自体の味やかたさ、それに調味料の味も変わります。例えば煮物に使うしょうゆから、普段家庭で使っているのとは違う味や香りが出てきてしまうんですね。こういった変化を私たちは「ダメージ」と呼んでいるのですが、できるだけダメージが加わらないようにするにはどうしたらいいか、日々研究しているんです。


当然、加熱によっておいしくなることもあります。おいしくなる反応とそうではない反応が、同時に起きているわけです。

私たち研究開発の仕事は、そうした反応が、作りたての状態とレトルト処理後の状態でどう変化するかを計算して、よりおいしい商品を開発することです。加熱によってこの味はよい方向に向かい、でもこの味は悪い方向に向かう。一方、食感はよい方向に向かう、といったような複雑な掛け算をしながら、仕上がりの着地点を探します。

食材の新しい組み合わせを試すときには、想定外はいくらでも起きます。想定外を克服するために挑戦し続けている、という感じですね。



7.「ひと口食べておいしい」と「一食食べておいしい」は違うから、ひたすら試作、ひたすら試食


原さんがおっしゃってたように、何度も試作を繰り返すんですね。

 

 

 

そうなんです。

実は、ひと口食べておいしいもの、一食食べておいしいもの、食べ合わせておいしいもの、すべてちょっとずつ異なるんですよ。最終的にどのおいしさに着地させるか、それが本当に難しいんです。

試作品もすぐにささっと作るというわけにいきません。数パターンを鍋で作った後、レトルト殺菌という工程が必要です。作りたてと少し置いた後では、味は少し変化します。お客さまに届いた時の味がどういうふうになっているのがベストか、という観点で見るため、レトルト殺菌した後さらに数日置いてから試食するんです。

さらに、食べ方もさまざま試します。

ひと口だけでなく一食全部食べてみる。あるいは、お腹が空いているときとお腹が一杯のときで比べてみる。最終的な味のパターンを決める段階になると、自分のお昼ご飯と食べ合わせてみたりもするんですよ。


 

驚きました…!

 

 

8.「食べる」は毎日のこと。「おいしく食べ続けられる味」を探す道のり


祖父には「歯ぐきでつぶせる」の介護食を選びましたが、介護食には4つの区分があるんですね。

 

 

 

 

はい、そうです。UDF(ユニバーサルデザインフード)の4区分、「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」に分かれます。

 


UDF(ユニバーサルデザインフード)の4区分(出典:日本介護食品協議会ウェブサイト) 



普通のお食事に一番近いものが「容易にかめる」です。

ただ、この状態であっても、お肉をそのままで食べることは想定しておらず、肉団子やハンバーグのような形状にしています。野菜類もやわらかい煮込み料理になり、すべて軽いとろみがつきます。

1998年の販売当初は、一般的な外食がしっかりした味付けだった時代でもあり、『やさしい献立』も現在より塩分が多めでした。その後、健康志向の時代背景に合わせて少しずつ塩分控えめの傾向になっています。

とはいえ、おいしく召し上がっていただくことを大切にしているので、極端な味の変化はありません。よほど注意して比べないとわからないと思いますよ(笑)。

介護食は、何といっても「おいしく食べ続けていただくこと」が一番大切なんです。味の調整はあくまで、その基本からはみ出すことのない範囲を守っています。


 

祖父も2年近く『やさしい献立』を食べていました。


 

 

そうだったのですね。オズさんのお祖父さまのように年単位で召し上がる方も多い印象です。

以前、あるお客さまから会社あてにお手紙をいただきました。

『やさしい献立』を1年くらいご利用いただいていたようで、「感謝の気持ちをお伝えしたい」というお手紙でした。

そのお手紙は、介護食の担当だけでなく研究開発の部署全員で読ませていただいたのですが、調理にたずさわる立場として大変心を打たれ、とても励みになりました。こういうふうに思ってくださる方がおひとりでもいるんだ、と心から嬉しく思ったことを覚えています。

私たちは、作った商品に対してお客さまが実際にどんな反応をしてくださるかを間近で見る機会はなかなかありません。スーパーなどでたまたま買い物かごに『やさしい献立』を入れる方を見て「おっ」と思うことや(笑)、介護施設に見学に伺わせていただくこともあるのですが、実際にどう感じながら召し上がっているのかは、想像の域を出ないんです。

お声を直接いただくと、『やさしい献立』を召しあがっている様子が頭のなかではっきりと浮かぶような気がします。


直接のお声は本当に嬉しいですよね。次はどういったメニューを作ろうかな、というモチベーションにもつながります。

ちなみに、オズさんは「こんな介護食があればよかったな」と思うメニューはありますか?


 

カレーですね。祖父はカレーが好きだったので。


 

 

カレーがお好きなご高齢者は多いですね。

以前、介護施設を訪問した際にこんなことがありました。お昼のメニューがカレーだったのですが、食堂にカレーが運ばれてくると「わあっ」という声が上がるんです。「お、カレーか!」ってテンションがあがる方もいらして。

よくよく考えると、カレーって、家族の人数が多かったり、子どもが食べ盛りの時期にはよく作るけれど、夫婦2人だけになるととたんに作らなくなるメニューでもあるわけです。そういう意味でもとても喜ばれるメニューみたいです。「家族の思い出」も含んだ一品なのかもしれないですね。

お祖父さまの頃には残念ながらカレーのラインアップはありませんでしたが、現在はカップタイプの『やわらかカレーライス』という商品をご提供しています。


「介護食は『おいしく食べ続けていただくこと』を何より大事にしたいです」(武藤さん)


9.レシピは必ず枯渇する。小さなアイデアで食卓に「愛」、ほんの少しの余裕、そして笑顔を。


キユーピーさんのウェブサイトには、レトルトの介護食を活用した献立のレシピやアドバイスが載っていますよね。祖父の頃にもこんなウェブサイトがあれば、もっと色々してあげられたのになぁと思います。

 


ありがとうございます。

アレンジレシピを充実させたのはここ3、4年のことなんです。こちらのレシピについても原がアドバイスしてくれています。

介護なさってる方って、皆さんものすごく忙しいですよね。

ですから、「アレンジ」と言っても手の込んだアレンジは求めていないわけです。ちょっとした工夫で味が変わったり、とれる栄養素が増えたり、そんな感じにしたいよね、と相談しながら考案しています。

 

『やさしい献立』にひと手間加えたアレンジレシピを紹介する
『かんたん!アレンジレシピ』

朝・昼・夕ごはんに加え、間食・おやつと1日5食分のメニューを一週間分紹介する

『1週間のやわらかメニュー』

 ※画像をクリックすると各ページにとびます



かたさなどの制限があり、どんな食材でも合わせられるわけではないんです。

ただ、その制限の中であっても、ちょっと違った刺激や香りが入ることで、食べる方が楽しめればいいですよね。

 


レシピが多いと本当に助かります。『やさしい献立』今は何種類あるんですか?


 

 

 

現在は52種類です。一番多いときには60種類ありました。

介護食のバラエティを増やしてほしい、というお声は常にいただいているので、できるだけたくさんお届けできればいいなと思っています。

ただ、実は、単に種類を増やせばよいわけでもないとも思っているんです。

それよりも、まさにオズさんがお祖父さまの介護食でやっていたような、レトルト2品目と卵、そんなレベル感のプチアレンジをたくさんご提案していきたいですね。


「アレンジ」とも呼べない雑な感じでしたけど(笑)。


 

 

 

いえ、介護なさっている方にとって、まさにそれが等身大の「アレンジ」なんです。

主婦目線、一般家庭で実際に使う方の目線を大切にしたいんです。料理のプロである原の視点からアドバイスを受けてはいますが、プロ視点だけではいけないと思っています。

『やさしい献立』を使われる方は、「ある日のメニュー」を助けてほしいのではなく、毎日のメニューを助けてほしいはずです。有名シェフ監修のラインアップが並んでいることも魅力的ではありますが、毎日レストランの味だと誰だって食べ飽きますよね(笑)。

私たちは、「おいしいものを作りたい」という気持ちを大切にしつつ、等身大で作れるもののご提案というスタンスを大切にしたいと思っています。オズさんの介護食作りにヒントを得て、「すき焼き七変化」のようなアレンジもできそうです(笑)。


簡単なアレンジがあれば助かる方、たくさんいらっしゃると思います!


 

 

 

レシピって、必ず枯渇しますからね(笑)。「今日どうしよう!」となるんですよ。

キユーピーがご提案するレシピ自体もそのまま使っていただかなくてもよくて、何か小さなヒントを得ていただければいいんです。

召し上がる方の味のお好みや、噛んだり飲み込んだりする力に合ったヒントを何かしら見つけていただければ、それだけでとても嬉しいですね。

例えば、「卵を乗せればいいんだ」とか「チーズはシートではなく粉チーズにすればいいんだ」とか、そんな小さなことでもいいんです。


本当ですね!

卵を乗せただけの私の「アレンジ」も、どなたかのお役に立てるのであれば嬉しいです。おじいちゃんも今ごろ空の上で喜んでいると思います(笑)。

「アレンジレシピ」がますます充実していくこと、期待しています。今日はありがとうございました!



こちらこそ、貴重なご経験を聞かせていただき、本当にありがとうございました!

 

 



オンラインランチ会での偶然の出会いをきっかけに、お祖父さまとの思い出やご自身のがん経験も語ってくださったオズさん。


高齢になっても、病気になっても、「おいしいものを食べること」そのものが生きる力になるとあらためて気づかされました。


また、在宅介護で心身共に疲れてしまっても、たしかな「おいしさ」を手軽に味わえるよう日々研究を重ねているキユーピー株式会社の「食のプロ」の皆さんのお取り組みをお聞きして、『やさしい献立』という商品名にある「やさしさ」は、介護食を召し上がる方だけでなく、そのご家族にも向けられているのだと確信しました。

 

11月11日は、介護の日。

「シェフが作ったレトルト介護食でちょっと一息いれてみようか」

「このアレンジレシピ、今夜試してみようよ」


それぞれのご家庭で、そんな小さな会話が生まれますように。

いつだって「愛は食卓にある。」のだと、猫舌堂は信じています。


大きなマヨネーズを抱えてパチリ(左から武藤さん、オズさん、原さん)