【ミニコラム】猫めし~わたし色の一食~十二膳目

【ミニコラム】猫めし~わたし色の一食~十二膳目

2022 ⁄ 09 ⁄ 15

猫めし」シリーズでは、「なんとなく食欲がわかない」「食べづらい食材がある」……といったご経験がある方からの、

「今日はこれを食べてみたよ!」
「この食材、こんな食べ方もあるよ!」

のお声を紹介していきます。

北浦和中華楼「冷やし担々麺」」by コーイチさん(舌がん*)

*舌がんについて、詳しくは がん情報サービス の情報をご参照ください。

 

私の「猫めし」は、 北浦和中華楼「冷やし担々麺」 です。 

 

 

私の生まれ育った街である北浦和の中華楼は、子どもの頃から慣れ親しんだ中華料理店です。
店主の菊地さんには小学生の頃からあたたかく支えていただきました。

社会人になっても、帰郷する度に、子どもの頃からの変わらぬ味で出迎えてくれました。

舌がんの再発がわかり、舌と声帯を全摘しないと命が助からないと医師に言われ、葛藤の末、命を優先して手術を受けることにしました。

手術を受けるひと月前から、人生最後の食事を味わうため、中華楼に訪れると、菊地さんが、
コーイチ、この味を覚えておけよ!
と言って数々の料理を出してくれました。

その中で特に好きだったのが、冷やし担々麺です。
暑い夏にキリッと冷たいスープと麺、そしてピリッとからい山椒が爽快でした。

手術後、舌と声を失い、固形物が食べられなくなった私に菊地さんが出してくれたのが、この嚥下食用の冷やし担々麺です。

人間の味覚は舌だけじゃなく、口の中や喉にも残っているようで、あの懐かしい味と山椒の香りを鮮やかに感じることができました

 

 
※記事の内容はその方個人の感想・体験です。すべての人に当てはまるものではありません。